「若菜ちゃんっ!」
息を切らして近くまで行くと、少し離れた所から美奈子が大きく手を振っていた。
「ごめん…」
息を整えようと、軽く俯く。
「ううん。何かあった?」
「いや…」
「ならいいけど。あたし、若菜ちゃんから誘ってくれた事が凄く嬉しかった」
「うん」
夏休み始まってから一度も美奈子と会っていなければ話してもいなかった。
でも、なんとなく思った。
夏休み最後くらいはって…
「ってか、若菜ちゃんはあまり嬉しくなさそうだけど…」
「そんな事ないよ。じゃなかったら誘わないでしょ?」
「まー、そっか」
美奈子は笑みに変えて、あたしの腕を勢いよく引っ張った。
「ちょ、待って!まだ、息がっ…」
「今日はママの特別メニュー!若菜ちゃんが来るって言ったらママ張り切っちゃって」
「あ、うん」
「早くいこっ、」
階段を駆け下りて行く美奈子について行くように掛け降りる。
このテンション…どうにかならないかな。



