ここに来たことに正解だったんだろうか。
ここに来たことで何かが変わろうとするんだろうか。
逆に、なんだか切なくなった。
それに何を話していいのかも分かんなかった。
言葉に詰まって、考えて。
そう頭の中で色々と考えているのに、上手く言葉に出来なかった。
「…入んぞ」
暫くして不意に聞こえたドアの開く音と、低い声。
その声にドクンと一瞬だけ、心臓が飛びあがる。
「あ…」
小さく声を漏らした千沙さんから視線を後ろに向けると、また頭の中が真っ白になりそうだった。
…だって、恭がいる。
なんで、ここに?
一瞬、チラッとあたしを見た恭の目が見開く。
でもすぐに視線を千沙さんに戻した。
「ここ置いとくぞ」
そう言って、恭はテーブルの上にペットボトルが入ったコンビニの袋を置く。
「あ、…う、うん。ありがと。どうしたの、珍しいじゃん恭が来るなんて」
「窓開けに行けって」
「誰が?」
「セナが」
「あー…セナちゃん?そうなんだ。ってか、もう終わっちゃったよ?」
千沙さんは窓に視線を向けて軽くほほ笑んだ。



