澄んだ空の下で


「あの…」

「要するに恭はセレブ一家だから父親が厳しい人なの。親が言った事をすれば問題なんてないんだろうけど、それを恭は嫌がってた」

「……」

「それでお父さんと反発して喧嘩になって、家出ちゃったの。でもそれを追いかけたのがお母さんだった。でも、運が悪かったんだろうね。恭を追いかけるばかりで回り見てなかったんだろうね」

「……」

「大通りに入った瞬間、車に跳ねられたんだ」

「……」

「それで即死だったの。恭は今でも責めてるだろうね、周りからは恭が殺したんだって、そんな風に言われて、悲しんだよ、あいつ」

「……」


…そう、だったの。


「それでその時に付き合ってた彼女とも疎遠。って言うか、大人達から見た恭の評判ってやつ?悪くなっちゃって、それで別れたんだけど。でもすぐに女は結婚しちゃってさ。ありえないよね…」

「結婚…って、学生なのに?」

「ううん。恭より5歳くらい上だったかな」

「へー…」


そうなんだ。と、しか思えない。

年上か、その人に比べたらあたしなんて子供だな。


「…って、あたしがそんな事言える筋合いないけどね」


そう言って苦笑いする千沙さんは何を思っているのかあたしには分かんなかった。