「恭が好きだから必死なんだ」
「別にそー言うんじゃないんですけど…」
思わず千沙さんから視線を遠ざける。
それに、もう恭には会いたくないの。
そんなあたしに千沙さんはフッと笑った。
「仲、いいんだね。みんなと…」
「別に…」
「……」
「あの、聞いていいですか?」
「何?」
「退院するんですよね?」
「うん」
「退院したら蒼斗に会わないんですか?」
「会わないよ」
「何でですか?」
「だって、今更でしょ?今更会ったって、どうするの?」
「アオは千沙さんが病気だって知らないんですよね?」
「そうだね…」
「言ったほうがいいと思います。今からでも遅くないと思いますけど」
「今からって…あれから何年経ってると思ってるの?もういいの」
フッ切った様に千沙さんは呟いた。
でも、それじゃダメでしょ?
アオが可哀そうじゃん。
それに悪くない恭の事を嫌ってるの。
そんなの、ダメだよ…
あたしが恭を好きだからとか、そんなの関係ない。
あたしの、あたしの心が苦しいの。



