澄んだ空の下で


「…千沙さんがアオの彼女」

「そうだよ」

「あの、アオとは何で別れたんですか?」

「それ、聞いちゃうんだ」

「すみません…」

「好きな人が出来たからって言ったらどうする?」

「え?」


それって恭の事?

でも友達同士だったんでしょ?

アオと恭は…


「でも、ほんとにそうなの。あたしが恭の事を好きになったの。だから蒼斗と別れたの」

「嘘、でしょ…?」

「ほんとだよ。そんな事、嘘ついてどーするの?」

「でもアオと恭は仲よかったんですよね?」

「そーだね」

「なのに、そんなっ…」

「好きになるのに、相手が友達同士とか関係ないでしょ?」

「……」


ツンとした口調で話してく千沙さん。

あたしには聞きたくない言葉だった。

それと同時にサエコが頭の中を過る。

サエコと千沙さんは、違うよね?

だから正直どうしたらいいのか、分かんなかった。


「千沙さーん、入りまーす」


コンコンとノックをした後、ドアが開くと同時に声が飛ぶ。

スタスタを姿を現せたのは看護師さんで、あたしの存在に気付いた瞬間、軽く礼をする。


「あー、やっぱりー。もう点滴終わってるじゃないのー。凄く連絡遅いから見に来たと思えば」


はぁ…とため息を付きながら看護師さんは千沙さんの腕から張りを抜いた。