「動揺しちゃった?若菜ちゃんって、可愛いねー」
そんな事を言いながら麗美さんはスマホの画面を見つめながらクスクスと笑った。
「別にそう言う感情はないですから。最低なんです、あの人!ってか麗美さんって、そんな人だったんですか?」
声のトーンを少し落とし、あたしはツンとした口調で返す。
そしてからかわれた事に少しだけ頬を膨らませた。
「そうだよ、こんな人。言っとくけど椎葉くんの友達とは仲いいからね。きっと何か助けてくれるよ」
そう言った麗美さんから視線を遠ざけ、軽く息を吐き捨てた。
「…あっ、もしもしセナ?」
不意に聞こえた声に視線を咄嗟に向ける。
麗美さんはどー言う関係なんだろうか。
セナと呼び会えるほど、麗美さんは仲がいいんだろうか。
そんな事を考えながら思考が少しづつズレた時、グランと身体が揺れた。
「若菜ちゃん、会ってくれるって!」
「はい?」
あまりの突然の言葉に声が裏返る。
「だから、セナが会ってくれるって!」
「え、あっ、いや…」
未だにあたしの肩を揺する麗美さんは嬉しそうに声を張り上げた。



