「それって本当に椎葉くんだったの？」
「…うん」
小さくコクリと頷く。
あれは絶対に恭だった。
あたしが見間違えるはずがない。
もう誰を信じていいのかも分からないし。
何が本当なのかも分からなくなっていた。
「ねぇ、確かめちゃおっか」
少し笑いながら話す麗美さんのその姿にキョトンとする。
「…確かめるって？」
「うーん…椎葉くんの事をもっと知る為に？」
「そんな事しても…」
「だって、若菜ちゃん気になるんでしょ？なるから悩んでるんじゃないの？蒼斗くんの為にもさ」
「でも…」
「だとしたら、これは会わなくちゃね」
「はい？誰に？」
麗美さんは鞄の中からもう一つのスマホを取り出し画面を見つめながら、
「椎葉くんの友達だよ」
「えっ、ちょっ、」
手を動かす麗美さんの手を慌ただしく止めた。
「えっ、なに？」
「別にそこまでしなくても…それにそんな事どーでもいいですし」
「へー…そうなんだ。…にしても落ち込み過ぎじゃない？好きなんじゃないの？」
阻止する手がその一言で止まると同時にドクンと心臓が波打った。
なんの胸の騒ぎなのかも分からない。
そんなあたしに麗美さんは意地悪くクスっと笑った。
