澄んだ空の下で


「あたしと先輩は――…」


誰にも言いたくない事だった。

誰にも聞いてほしいなんて思った事は一度もなかった。


でも、気づいたらあたしは今までの事を、全て麗美さんに話してた。


恭となんで知りあったのとか。

親友だった人に裏切られた事。


美奈子の存在。

アオの存在。


そして恭とアオに避けられた事。


全部、全て口が自然に動いていったように話してた。

だけど悲しいのに、涙なんて一滴も出てこなかった。


「-―…そっか」


話しが終わると麗美さんがポツリと小さく呟き、


「でも、若菜ちゃんは見捨てられてる訳じゃないじゃん?」


続けられた言葉にゆっくりと視線を麗美さんに向けた。


「え?」

「ほら、美奈子ちゃんだっけ?何だか優しいね」

「そう、かな。初めだけだよ、きっと」

「そうかなぁ…聞いてる感じじゃいい子だよ。若菜ちゃんの事、ちゃんと分ってくれてるみたいだけど。その子の為にも学校に行かなきゃ可哀相だよ?」

「…可哀相?」

「なんかね、あたしと似てる。あたし実はね高校中退なの」

「えっ!?そうなんですか?」


初耳だったその言葉に思わず声を上げてしまった。

麗美さんは、エヘっと小さな笑みを見せてコクリと頷く。