「違っ…恭にまだお礼言えてなくて」
咄嗟に嘘をついてしまった。
いや、違う。
制服のお礼はしたいと思ってた。
でも、今は違う話で逸らしたかった。
「何の?」
「制服…」
「……」
「ありがとう」
やっぱ、聞けない。
「で?…それだけかよ」
恭は冷たかった。
前までの優しさがなくなっていた様にも感じる。
アオとの関係の事で?
「…違うよね」
咄嗟に出てしまった声に思わずハッとする。
でも、それさえも既に遅かった。
「違うって、何が?俺とアイツ、どっちが正しいか確認かよ」
「ちがっ…」
「じゃー、なんな訳?色んな俺の事を聞いて信じられねぇーって思ってんのじゃねーのかよ!」
「……」
「そー言うのマジ面倒。せいぜいと探偵でもしてろよ!」
面倒くさそうに立ち上がってあたしの横を通りすぎようとした時、
「ま、待ってよ!」
何をどう思ったのか、あたしは恭の腕を掴んで足を止めていた。
恭にとってはそれが気にくわなかったのだろう。
小さく聞こえた舌打ちに、息を飲み込んだ。



