きっと認めたくなかったんだと思う。
絶対にそうじゃないって信じたかったんだと思う。
無意識に来た場所は、どれくらい経ったか分からないくらいの場所。
見上げる頭上は何も変わらないままで、でもそこから少しだけ距離を置いて違う場所を見つめた。
そこに向かって歩く足取りはとてもじゃないけど、軽やかなんてもんじゃない。
気づけば階段を踏みしめてた。
屋上の扉から吹きぬけてくる風に思わず息を飲む。
見える先には本心を知りたいと思ってる人影がある。
ベンチで仰向けに寝転がってる恭に、どうしても聞きたかった。
でも。
身体は正直でそれを拒否しようとしてる。
立ち尽くしてどれくらい経ったのかなんて分んなかった。
前に進む事も立ち去ろうとする事も出来なかった。
だから視線が落ちそうになった時、
「…何か、用か?」
不意に聞こえた声に、ドクンと心臓が波打っておもむろに顔を上げた。
「つか、なんの嫌がらせ?」
続けられた言葉に一瞬顔を顰めてしまう。
「別に、そー言うのじゃない…」
「じゃ、何?用があるから居んじゃねーの?」
「……」
「そんなに気になんのかよ、アイツと俺の事」
「……っ、」
「図星ってやつ?アイツから聞いたんじゃねーの?だったらそのまんまだけど」
そう言った恭は一度たりともあたしのほうを見なかった。



