救いだったのかも知れない。
見上げる空からは雨が降り注いでいて、丁度汚れたあたしを消してくれる。
彷徨う様に歩く半面、時折見る周りからの視線。
こんなんじゃ見られても当然と言ったばかりの恰好。
制服だって、みだらで。
髪だってボサボサ。
汚れた足に赤くなった腕。
…消えたい。
消えて無くなればいい。
そう思うと、あたしは何故かビルの屋上へと立ってた。
鞄を地面に置くと、その上にスカートから取り出したスマホを置く。
薄らと暗みがかかった空からは小粒の雨が降り注いでいた。
…もっと、強く。
もっと強く降ってくれればいい。
そうしたら、傘の所為で誰も地上から見上げる事なんてない。
誰でも越えられそうなフェンスをあたしは無意識の内に越えていた。
そこから見える景色はあの頃と変わってない。
これで、二度目。
同じ様にサエコに裏切られたあのひと同じ、光景。



