…―――
暫くの間、意識が遠のいていた。
ボロボロになった身体を動かすには無理がある。
助けを呼ぼうか。
なんて考えたけど、そんな事、無理に決まってる。
誰にも、見られたくないし、知られたくない。
“みんな自分のものになるって思ったら大間違いだから”
駆け巡るサエコの言葉。
頭が割れそうなくらい響渡る。
「……っ、」
寝転んだまま身体を動かすと、腕に痛みが走った。
…別に全て自分の者にしようなんて思ってない。
なのに、それだけであたしを?
このまま…
このまま意識が無くなればいい。
「……っ、」
こめかみに痛みが走る。
そして恐怖感のあまり心臓の早さにあたしは身体を素早く起した。
溢れだす気持ち悪い感触。
…眩暈が、…眩暈が起きそう。
そして現実に引き戻された瞬間、あたしは急いで鞄の中からスマホを取り出した。



