澄んだ空の下で


どれくらい眠っていたたのかも分かんなかった。

目を覚ますと既に明かりが差し込み、あたしは乱暴に髪をかき乱し、立ち上がる。

窓を開けて、見渡すと光に照らされた街並みが広がる。


───…また、一日が始まる。


退屈な、退屈な一日が今日も始まる。



リビングに顔を出すとまだ母の姿はなく、そのままあたしは風呂場に行きシャワーを浴びた。

もう一度、制服に腕を通し、この窮屈な家を飛び出す。


まだ6時を過ぎたばかり。


家に居たくない為に向かった先は古びたビルの屋上。

ここちいい風が好きで、唯一落ち着ける場所この場所があたしの日課になっている。


できれば1日中ここに居ても苦にならないくらいだ。


むしろ、家よりここがいい。


「…あっ、」


不意に視線を向けた方向。

真向かいのビルに彼がいる。


いつもと同じ場所で寝ている彼の存在に視線が止まった。


初めてだった。

こんな朝にあの場所で彼の姿を見たのが。


たまに訪れた時には一度も見なかった彼の存在が今日はある。



「…何、してんだろう」


だから、やっぱりあたしには彼のその存在が気になった。