「…何?」
冷たく吐き捨てたあたしの耳に美奈子の安堵のため息が漏れ、
「あー、良かった」
なんて言葉が聞こえてくる。
「は?」
「だから良かったって。若菜ちゃん出ないと思ったから」
「で、何の用?」
「何のって、まだ返事聞いてないの。若菜ちゃん途中で切っちゃうんだもん。なんかあった?」
「別に…」
「ふーん、そう。でねっ、明日―――…」
「もー、分かったよ。行けばいいんでしょ、行けば」
「やったぁー!ホントにいいの?」
「じゃあ、行かない」
「ダメ!約束だからね。明日、ちゃんと来てね。じゃーね!」
一方的にプツンと切れたスマホを思わず前で止め、ジックリと見つめる。
「…そっちだって、切ってんじゃん」
漏らした声とともに深い息を吐き捨て、止めていた手を再度動かした。
ある程度片付けを済ませると、自分のベッドに倒れるようにバタンを身体を崩す。
そして、そのままあたしは目を閉じて視界を遮った。



