「ねぇ、キッチンかりてい?」
「いいけど。マジ食うの?」
「うん」
「お好きなように」
恭のどうでもいい様な言葉を聞いて、あたしはキッチンへと向かった。
カウンターキッチンは真っ白で統一されていて、何気に顔を前方に向けると、ガラス張りの窓から街の景色が一望される。
…ほんとに、凄い。
あたしから見ると、おとぎの国って感じなのかも知れない。
ほんとに、何もかもがあたしと正反対なんだから。
そんな事を思いながら、メロンをザックリ半分に切る。
見ただけでも美味しそうって、思わせるメロンに何だかつい笑みが零れ落ちてしまった。
「…ねぇ、食べようよ」
皿に盛り付けたメロンを恭が寝転んでいる前にあるテーブルに置く。
恭は、「うん?」っと、そう言って額に置いている腕を滑らし目線をあたしに向けた。
「だから、食べよ?」
「いや、…お前食えば?」
「こんなにどーするのよ」
半分置いとくのもどうかと思い、勢いで全部切ったメロンはやっぱりどう見ても多すぎ。
その量に、恭は一瞬、顔を顰めた。



