「あ、あのさ…」
「何?」
丁度エレベーター前で止まった恭に声を掛ける。
「ほんとここに住んでる訳?」
「じゃなかったら、こんな事して入らねーだろ」
「…ですよね」
やっぱ、違うんだ。
あたしとは何もかも、違う。
エレベーターのドアが開くと、恭の後に連れらって、足を進める。
そして恭は最上階であろうボタンをポンと押した。
…え?
53階ですか?
唖然として見つめていると、物凄いスピードで小さい窓には回数が映し出されていく。
一度も止まることなく最上階に着きドアが開くと、また言葉を失ってしまった。
物凄く広いロビーのような空間。
その先を行く恭の後をついて行くと、ダウン色の玄関が目についた。
ガチャンと、恭が鍵を開けたドアの隙間から見える広々とした空間。
「入れば」
開けられたドアの前で、あたしはただ立ちすくんでしまった。



