澄んだ空の下で


やっぱし何度居ても思う事がある。

なんであたし、この人と歩いてんの?って。


それに余計にこの人の存在を知ると、途轍もなく隣のあたしが場違いで仕方がなかった。


だけど隣に居るって事が嫌じゃない事。

この人の緩い性格があたしを居心地よくさせてんの。


だから、この人の悪い噂が信じられなくて。


「ねぇ、遠いの?」


暫く歩いて、先を歩く恭に声を掛ける。


「うーん…もうちょい」


この道は当たり前に知ってる道で、この先の住宅街に進むとあたしの住んでるマンションが見える。

だけど、その道を過ぎても恭は足を進めてた。

恭の背中を見て歩く。

それがあたし達の距離感なのかも知れない。


あの、雨の日以外。恭と歩く時は出来るだけ一歩、二歩下がって歩く様にしてる。


180近い身長。そのスタイルがいい、その背中を見て歩くと、何でか分かんないけど落ちつくから。


「…ここ、なの?」


恭が足を進めて行った場所。

大きなビルの地下に進む途中、あたしは背後から声を掛けた。