澄んだ空の下で


「アンタが来いって言うからでしょ?」

「俺はどっちでもいい」

「だ、だから――…」


なんで分かんないのよっ!

アンタの事、嫌じゃないから。


アンタの事、避けたいなんて思ってないから!


むしろ、アンタの事。


知りたいの。


もっと、もっと。


「って言うか、もう敬語やめた訳?」

「あっ、」

「早くね?」

「やっぱ慣れなくて」

「ま、俺もそのほうがいいけど。窮屈なのは嫌い」


…窮屈、か。


未だに恭の腕を掴んでいた手は必然的に離れる。

それは先を歩いた恭の所為で緩く掴んでいた手がスッと離れたから。


先を行く恭の背中を見て、やっぱし思った。


皆が言う程の人じゃない。

恭は皆が思ってる様な人じゃないから。



だから、ごめん。


恭からは何故か離れられないの。


美奈子も、アオも、ゴメン。

近づくなって言う意味が、分かんないの。


世間から見れば、恭はそんな存在なのかも知れないけど、あたしはそうには思えないから。