翼がいてくれたら、都合がいい。
「ちょっと、ついて来て」
そう言って、強引に翼の手を引いて歩き出した。
「えっ!?ちょっ、愛莉さん」
後ろで戸惑ってる翼のことは、お構い無しの私。
「流星の高校って西高だよね?」
「あ、はい。そうですけど…。
愛莉さん…もしかしてそれ…」
翼は、私の手元にある黒の袋をみて遠慮がちに聞いてきた。
「…流星に。でも、一人で渡しに行くの無理なんだよね…」
「それで俺を無理やり…?」
「人聞きの悪い。まぁ、間違ってないけど。
総長の彼女の役に立ちたいと思わない?」
こんな時に、使うのはズルイと自分でも思う。
そんなん言われたら断れないよね。

