昨日乗った、社長の車。

翔はもう、仕事に行ってるはずなのに、

私の目の前に、

その車が止まっていた。

・・・

私に気が付いたのか、

運転席から、綾野が出てきた。

「おはようございます、早乙女さん」

にこやかな挨拶に、

私もにこやかに答える。


「おはようございます・・・

あの、社長ならもう出勤しましたよ?」


私の言葉に、

綾野は頷いた。


「もちろん知ってます、

私は今朝迎えに来ましたから」


「・・・じゃあ、なぜここに?」



「もちろん、早乙女さんを迎えに来たんです」

綾野の言葉に驚き、

慌てて否定する。

「ちょ、あの、私は一人でも

仕事に行けますから、早く行ってください。

社長秘書の方が、わざわざ私なんかの迎えなんて、

いいんですよ」