「大丈夫だ・・・

少し、話しを進めておいてくれるな?」


「・・・はい」

・・・

冬美をその場に残し、

綾野の後についていった。

・・・

「一体何の話がある?」

綾野の背中に、そう問いかけた。

・・・

綾野は振り返り、

いつものように優しく微笑んだ。

「やっと結婚されるんですね?」


「・・・ここのところ、

仕事を無断欠勤して」


・・・そうだ。

あの日を境に、

綾野は何日も無断欠勤していた。

携帯も、自宅の電話も、

一度も出なかった。


「・・・すみません。

でも、自分の気持ちを言ってしまった以上、

お二人に顔を合わせる資格がないと、

そう思い悩んでいました」


「・・・そんなこと。

お前は、オレの大事な秘書だろう?

いてくれなきゃ困る」