「何を突然」

私は小さな声で呟いた。

・・・

美香は優しく微笑み、

静かに喋りだす。


「最近の冬美は、見てられない」

「・・・」


「責任感で仕事は何とかこなしてるけど、

それ以外は、何にもしない。

今迄みたいに、作り笑いすらしなくなった」


…そうかもしれない。

仕事中はおろか、

プライベートで笑顔なんて、

全くしてない・・・

だって、作り笑いさえ、辛い。

・・・

そんな私の気持ちを、

美香はすべて見抜いている。


「休暇はたんとあるんだから、

この際、私の知り合いの家に、

ホームステイして、気分転換しておいで」


「ホームステイって・・どこ?」


「オーストラリア。

私の姉が、オーストラリアの人と結婚して、

今向こうに住んでるの。

姉に話したら、大歓迎だって。

ねぇ、騙されたと思っていかない?」