一体なぜ?

そう思ったが、

ただ通りすがりに出っただけの彼女に、

そんな事が聞けるはずもなく、

オレは、彼女の横を通り過ぎ、

その場を後にした。

・・・

あんな彼女なら、

神宮寺が大事にするのも、

分かる気がした。

・・・

用事を済ませたオレは、

会社を出る為、

足早に歩いていた。

・・・ドン。

・・・

よそ見をしていた為、

誰かとぶつかった。

辺りには、書類が散乱していた。

「す、すみません、大丈夫ですか?」

急いで書類をかき集め、

手渡した相手は、

あの時の女性だった。

神宮寺は、冬美、そう言ってたな。

…ダメだ。

冬美は、あまりに美羽にそっくりだった。