私は春涅さんの方を見て小さく微笑んだ。 「春涅さん、あなたはこの秋の紅葉を どんな気持ちで描いたのですか?」 春涅さんは私の方を見ると 小さく頷いて、答えた。 「大切な家族や友人を思って描きました。 私も紅葉の様に強く美しくなりたい…。」 と自信に溢れた瞳をこちらに向けて。 「春涅さん…素晴らしいわ。」 私はそう言って又、 作り笑いをして美術室を出た。 秋も皐月も、慌てて私の後を駆けてきた。 私がお金で買えないもの、 それは美的センスだったんだ。