最初に目に入ったのは、やっぱり絨毯だった。
小さく流れている音楽。いつもの音楽。
ああ、空の上ホテルだ。
やっと来れた。息をほっとついた拍子に、目の縁に残っていた涙がぽろっとこぼれた。
あわてて手の甲でぬぐう。・・・・・・私、いつもはこんな泣き虫じゃないのになあ。
レイ、いるかな。今度はなんて言うかな。「またお前かよ」って、悪態つくかな。
ドキドキしながら小走りでフロントに向かった。
「あれ、おかしいな」
フロントには、誰もいなかった。私はうろうろとその辺を歩き回った。
そして、エレベーターの前に立っているレイを見つけた。誰かと話をしているようだった。
一瞬、声をかけるのをためらった。レイの横顔をじっくりこの目に焼き付けておきたかった。
レイのすっと通った鼻、とんがった耳。きりっとした目。にこやかな口元。
誰と話してるんだろう。サキさんかな?
声をかけようと口を開いた時、レイが動いた。
レイの腕が、誰かをぎゅっと抱き寄せた。長い髪が見えた。
私はその場で石になったようにじっとしていた。動くことができなかった。
レイは、見知らぬ誰かのほほにそっと口づけをした。そして見知らぬ誰かの耳元で一言二言何かをささやいた。
私は、目を見開いたまま、一連の動作を見ていた。全てをこの目にじっくりと焼き付けてしまった。
・・・・・・こんなことなら、さっさと声をかけるんだったなあ。
私って、馬鹿だな。
小さく流れている音楽。いつもの音楽。
ああ、空の上ホテルだ。
やっと来れた。息をほっとついた拍子に、目の縁に残っていた涙がぽろっとこぼれた。
あわてて手の甲でぬぐう。・・・・・・私、いつもはこんな泣き虫じゃないのになあ。
レイ、いるかな。今度はなんて言うかな。「またお前かよ」って、悪態つくかな。
ドキドキしながら小走りでフロントに向かった。
「あれ、おかしいな」
フロントには、誰もいなかった。私はうろうろとその辺を歩き回った。
そして、エレベーターの前に立っているレイを見つけた。誰かと話をしているようだった。
一瞬、声をかけるのをためらった。レイの横顔をじっくりこの目に焼き付けておきたかった。
レイのすっと通った鼻、とんがった耳。きりっとした目。にこやかな口元。
誰と話してるんだろう。サキさんかな?
声をかけようと口を開いた時、レイが動いた。
レイの腕が、誰かをぎゅっと抱き寄せた。長い髪が見えた。
私はその場で石になったようにじっとしていた。動くことができなかった。
レイは、見知らぬ誰かのほほにそっと口づけをした。そして見知らぬ誰かの耳元で一言二言何かをささやいた。
私は、目を見開いたまま、一連の動作を見ていた。全てをこの目にじっくりと焼き付けてしまった。
・・・・・・こんなことなら、さっさと声をかけるんだったなあ。
私って、馬鹿だな。