まずは
入社以来悪友といえる関係を築いた
イルルに声をかけてみる。

「ぷっ…34歳の勇者w」

予想どおりの反応だが
ここでめげてはいけない。

「イルルは刀も使えるし素手でも戦えるし、適任だろ。」

見た目が可愛らしく
29歳という年齢を感じさせない幼い外見だが
実は刀を自在に使いこなせる特技がある。

難点は毒舌、ワガママ。

「延々と普段着ばかり作り続ける作業よりはいいか」

忘れていたが、
織工ギルドも今は地震からの復興で
服を大量生産している。

「作っても作っても終わらねんだ。」

いつの間にか寄ってきたリーヴェも愚痴を言う。

「会社辞めてぇw」

ここでリーヴェまで釣れるとは
ラッキーなのかアンラッキーなのか。

何しろ俺はリーヴェの特技を知らない。

「辞めたいならついてくればいいんじゃw」

「そうすっかw」

オマエが一緒にいたいのは
イルルじゃねぇのかと
心の中ではつっこみつつ
リーヴェの本当の動機はスルーした。