嘘吐きなその唇で




ちょっと、柚乃。



いい加減、正気に返ってちょうだい。



何で彼を私の真正面に座らせたのかな?



何?これって、一種のいじめ的な?



生きている心地がしないんだけど。



てか、彼ってほんと陰険な男だわ。



私が拒絶姿勢を取っても、柚乃は断る筈がない。



それを分かっていて、あの質問だもの。



あー、嫌だ嫌だ。



盛大なため息を吐き出し、横目で雅哉に訴えると、雅哉も「柚乃の美男子美女好きには参る」と呆れ返っていた。