「よぉ……」

「京介」

 彼は1年前に私の目の前から消えた元カレ。
 メールも携帯も通じなくなって、引っ越しまでしてしまったのだ。

 たった1か月の付き合いで、元カレとも言わないのかもしれないけど。

 今更……何しに来たの?

 そう思いつつ、彼が私を訪ねて来てくれた事に否定的な気持ちは無い。 

「今のって彼氏?」

 この質問に答えず、私はそのまま部屋のカギを開けて中に入った。
 京介が黙って後ろから入ってくるのは分かっていたけど、それを止めるような事はしなかった。