「.........」




理恵は返答するでもなく、
無言で彼を見据える。


彼は机に無造作に投げられているコンビニ袋を
羨ましそうに見つめていた。


どうやら昼食を忘れてきたらしい。




「.........」

「お~い聞いてんッスか?」




ビー玉のような大きな瞳を
怪訝そうにしながら彼が言った。


彼は北条 昴〈ほうじょう すばる〉。
理恵と同じクラスの生徒だ。


やわらかそうな濃いめの茶髪、
クリリとした大きな瞳、
幼く精悍な顔立ち。


理恵は、あれ?と眉を歪ませた。


 こいつ、噂で聞いた事あるな。



理恵はストローをくわえながら
目の前の人物を、
まるで珍獣でも見るかのように凝視する。