「あ…意外なんだけど」
「なんで?」
奏真が少し笑いを含ませて俺に言う。
「もっと修羅場になるかと思った。郁理がマジギレして」
「俺がなんかやって彩葉に火の粉かかったらヤダから。それに笠原はおとなしいヤツだし…」
「もうなんもしないだろ…って感じ?」
「ん。そんな感じ。……つーか奏真って…野次馬?」
「ちっ、ちげーよ!?た、ただ、郁理になんかあったら助けようと思ってな?」
「ふ~ん」
野次馬ってことだな。
そんなことより、早く家に帰って彩葉に知らせるか…。
「じゃっ、俺帰るわ」
「俺もかーえろ」
奏真とは家が真逆だから、校門を出るとお互い別々になる。

