慌てながら、郁理と岡本くんはギターを丁寧に置き美柚がいる教室へ戻る。
あたしも二人のあとに続く。
「で?美柚なんだよ?」
不機嫌そうな顔をして岡本くんは美柚に言う。
「あたし今日、マイドラム持ってきたのー♪パパに言って車で運んでもらったの」
「このドラムを……?」
「男子二人で体育館の準備室まで運んでよ」
「いやっ!藤野、俺ら練習しなきゃないし…」
「運んで」
「「わかりました!」」
み、美柚すごい!
岡本くん、あの郁理まで聞いちゃってるよ!
二人は重たそうかつダルそうに美柚のドラムを運んでいる。
ピンクの光沢があるドラムで可愛い。
「可愛いドラムだね、美柚」
「でしょ?パパが16歳の誕生日に買ってくれたの♪」
もしかして……
美柚ってお嬢様!?
「あぁー!早くステージに上りたい!一番前の席で見ててね?」
「うん!もちろん!」
ソワソワしてる美柚を見てたら、あたしまでソワソワしてきた。

