【美柚side】



もうすぐ中学2年に進級する時の春休み。


暇で暇でしょうがなくって、近場にあるスタジオを借りてドラムの練習していた。


藤野美柚、中学1年の時だった。


一人で黙々と練習をして飽きていたところに、真っ赤なギターを抱えた男の子が一人来た。


「すっげー…女の子でドラム叩く子初めて見た」

「え、あぁ…そう?」

「ねぇ、名前なんて言うの?」

「美柚…藤野美柚」

「美柚ちゃんね。俺は岡本奏真。また会ったらよろしくな」


この時だ。

あたしが奏真に一目惚れしちゃったのは。


会いたい…って気持ちを持ちながらも、会える確率の少なさを知ってか忘れるようにした。