彩葉はおもむろに鍵を開けて、俺を家に入れる。
つーことは……
彩葉の親は家にいないってことか。
「今日、お母さんにいきなり仕事入っちゃって。受験の日なのに誰もいないの」
「それも落ち着かないな」
「うん、あんまりね」
俺は何回も来たことのある彩葉んちのソファーに腰かける。
隣にポスッと彩葉も座った。
「疲れたぁ~…」
「知らない人だらけだもんな。お疲れ」
「んー…郁理の匂いってなんか安心するんだよね」
「可愛いことばっか言ってたら俺、我慢できなくなるよ?」
「それは嫌ー」
コテンと俺の肩に頭を乗せてきて、疲れたせいか甘えてくる。
可愛いじゃん。

