郁理とまともに話したのは久しぶりな感じがした。
家が近くなるにつれて離れたくなくて、手をぎゅっと握る。
「じゃあ…また明日な」
「ヤダ…あと少しだけ郁理といる…」
「風邪引くから家帰ろ?」
「でも…」
「彩葉の受験終わったらずっと一緒にいてあげる」
「あたしが終わっても郁理が受験あるじゃん…」
自分でも有り得ないほど、今は郁理と一緒にいたい。
甘えたい、手繋いでたい…
スレ違いが消えてきたところで、あたしがわがまま言っちゃダメなのに……。
「しょーがない甘えたちゃんだな~…おいで?」
「ゆーりっ…」
大きく広げられた手の中にあたしは飛び込む。
ぎゅうっと強く抱きしめられた。

