知ってか知らずか、彩葉は俺にこんなことをしてくる。
可愛いけど我慢できなくなるから。
「ゆーりっ、そろそろ行こーぜ!次俺らの番だから」
「マジでか…」
「あーっ!落ち着かねぇな…ドラムとか久しぶりにやるりなぁ」
「俺だってベースとかあんま触ったことねーし。練習はしたけど」
「これ終わったら美柚とデートだから頑張るかっ!」
さらっとデート自慢ですか、奏真くん。
俺と奏真が体育館の中に入ると、後ろからギターを抱えた藤野と緊張気味の彩葉が来た。
「はぁ~…ギターとか緊張する~!ドラムにしとけば良かったかなぁ」
「あたしも緊張するよ…人前で歌うって恥ずかしい…」
今更、赤面する彩葉は藤野の手をずっと握りしめてる。
俺んとこ来たらいいのに。
そんなことより、ベース間違えないようにしなきゃだな……。

