去年の文化祭もそこそこ緊張したけど、今年は去年の倍に緊張する。
本番までの数時間がすごい短く感じるほど。
「郁理~…」
「ん?彩葉…どした?」
時刻は午前が終わろうとしていた。
体育館裏に待機してる時に不安そうな顔で彩葉が来る。
「あのね、緊張して大変なことになってるの…心臓がドキドキって」
「歌詞間違えても藤野いるんだし、なんとかなるだろ」
「ううん!そんなんじゃダメだよ……ほら」
彩葉は俺の右手を軽く握って、自分の胸へとやる。
体育館裏でいくら暗いといえ人前で何やってるのかな、彩葉は…。
確かに鼓動は速いかもしれない。
でも、それ以前に…む、胸が、さ…。
「ね?」
「あ、あぁ。緊張してるな、うん。大丈夫だって」
「落ち着けば大丈夫だよね…。頑張ろうね郁理!」
落ち着けって俺。
俺の心臓の方がヤバいことになるから。

