早朝、黒のギターケースを抱えて俺は家を出る。
今日は高校生活最後の文化祭。
楽しみなはずなのに、どこか寂しく感じる。
「おはよ~郁理」
「ん、はよ」
「朝から元気ないなぁ~。今日は文化祭だよ?」
「逆に朝から元気あるお前の方がすごいって」
「そっかなぁ…」
元気に笑顔でいる彩葉は可愛いから、俺にとってはいいんだけどな。
「なんか文化祭が終わっちゃったら、あとは勉強しかない気がする…期末テストとかさ!」
「あぁ~…あるな。そのあとに面談あってからの受験みたいな」
「ん?…郁理にしては詳しいねっ!けっこう難関のとこ受けるんだ?」
「そっ、それはどーだろう…」
彩葉の行く大学はそれほど難関ではない。
ただ秘密にしてることがバレそうでドキドキ…。

