練習をたくさんして、岡本くんの家を出た時にはもう外は暗かった。
4、5時間は練習してたんだと思う。
おかげで声もガラガラ……。
家まではまた優しい岡本くんのお父さんが送ってくれた。
「今日は疲れたね~…家帰ったら勉強しなきゃだし」
「頑張るなぁ彩葉は」
「受験生だからね。大変なのは今だけだから頑張る」
「ご褒美にキスしてあげよっか?」
「なっ!な、なに言ってるのよっ…!」
郁理の意地悪な罠にまんまとハマるあたし。
家の前でキスなんてできるはずないじゃん…。
「家の前でなんてするかっ」
「あ、あたしだって家の前でするもんか!」
あれ…?
意地悪言いつつもキス…してくれると思ったのに…。

