たまに入ってくる風だけが、音楽室にいるあたし達4人を涼しくさせる。
「いやぁ~…去年と比べ物になんないくらい暑いな」
「奏真、扇風機持ってきてよ~」
「いくら美柚のお願い事だとしても聞けませーん」
岡本くんは制服のネクタイを緩めながら、ペットボトルの水を飲み干す。
郁理は、すでにネクタイを外して床にうなだれてる。
「ゆーり。床は汚いぞー。水飲む?」
「んー…飲む…ヤバい、暑すぎなんだけど」
「暑いね~。またあたし倒れたらどうしよっ」
「そん時は、俺が運んでやるよ」
「優しいね」
胸がトクンと高鳴る。
郁理のせいでもっと暑くなるじゃん…。
夏にはドキドキさせないでほしいよ!
実はけっこう嬉しいんだけどね…。

