機嫌が悪くなる俺を見かねた彩葉は、俺に向きなおして話しだした。
「あのね郁理。陽椰くんはあたしを助けてくれたんだよ。ここまで運んでくれたの」
「運ぶって…お前授業…」
「サボりや、サボり」
「だから陽椰くんは良い人なんだよ。優しい人だから…きっと郁理と陽椰くんは仲良くできるはず!」
彩葉を運んでくれたのには感謝しなきゃだな。
だからといって、コイツとは馬が合わない。
でも随分と彩葉がなついてるから悪いヤツじゃないと思うし……
あ~…なんか訳わかんなくなってきた…。
コイツと彩葉が仲良くしてたら妙に胸がモヤモヤする。
「…俺、教室戻ってるわ。関西君あと頼んだ」
「はぁ?え、ええんか?もう…?」
「ん。じゃあな彩葉」
「ち、ちょっと郁理?」

