しばらく経ち春から夏へと変わる微妙な季節になった。
ここ最近、彩葉は勉強ばっかでなかなか遊んでくれなくなったし…
チビのくせに。
俺と彩葉がずっと一緒にいられる時間は、学校への行き帰りのみ。
今はその貴重な時間の帰り道。
「郁理は勉強してる?」
「なんの?」
「なんのって今月末のテスト勉強だよ~…」
「あぁそれか。あんましてない」
「それじゃあダメじゃん!」
嘘。
今回のテストは今までのテストより、一番勉強してる。
もちろん、彩葉と同じ大学に行くためにな。
「ちゃんと勉強しとかないと、進路決める時に困るよ?」
「決まってるから変な心配すんなっつーの」
「えっ!決まってるの!…よかったぁ~」
彩葉が安心した顔を見せる。
そんな心配してたわけ?

