昼休みに少し冷たい風が吹く屋上に奏真と二人で行く。
ここならうるさい女子達もいないし、話しやすい。
「珍しいー。郁理に悩み事なんてさ。明日雨…いや雪でも降るんじゃないの?」
「うるせぇよ、バカ…」
「わりぃ、わりぃ」
遠くの澄んだ空を見ながら、奏真は笑った。
俺もつられて笑う。
「まぁ…悩みすぎもよくないしな。郁理らしくねーけど」
「俺にだって悩みの一つや二つあるっつーの」
俺の一向に決まる気配のない進路を奏真に話す。
奏真は真剣に聞いてくれた。
「ん~…なんとも言えないけど…好きなことすればいいじゃん。俺は音楽好きだから音大行くし」
「好きなことね~…」
俺だって音楽は嫌いじゃないけど、奏真ほど上手くない。

