部屋の中に入った途端、郁理が後ろから抱きついてくる。
フワッと郁理がいつも付けてる香水の匂いがした。
「抱きつくのは百歩譲って良しとする…でも…どさくさに紛れてドコ触ってんのよ!」
「別に減るもんじゃないからいいじゃん。それに、これ以上減らねーと思う」
「さらっと失礼なこと言わないの!」
ほんとに胸触ってくるってなんなのよ!!
失礼なこと言ってくるし……。
「あ?怒った?…今日の彩葉は可愛いから怒った顔とか似合わねーよ」
「またそんなこと言う…」
「からかってねぇから。本気で。外に出したくないくらい可愛い」
「…っ…もうヤダ…。ドキドキするから…」
「一緒に風呂でも入って、もっとドキドキさせてやろっか?」
「入るわけないでしょ!バカ郁理!…あたし先に入ってくるからっ」
バシッと背中を一発叩いて、あたしは走ってお風呂場に駆け込む。
どうしちゃったの…あたし…。
これから起こることに期待でも、しているかのように指先が震える。
「郁理の意地悪…」
こんなにドキドキさせないで。

