思ったより若いのかしら?20代後半くらいかと思ったけれど……。
カラカラと笑った姿を見る限り、最初に推察した年齢とは違う気がした。
それに、180cmくらいあるだろうか、結構背が高い。すらっとしていて、よく見れば見るほど謎に包まれた男だ。
「ん?じっと見てどうした」
「なんでもないわ」
「……ふーん?まあいいや、それよりもその指輪くれない?」
ニカッとく口元の笑みが深くなる。
「嫌よ、これは……大切な物なの」
すると、足元でニャァと猫の声がした。
「あ、黒」
「黒って……この猫のこと?」
しゃがんで触ろうとすると相変わらずフィッと避けられる。
「……」
とくに嫌われるような事をしたような覚えはないのだけど。
「ふん、お前に懐くわけないだろ」
そう言って警備員の格好をした自称怪盗は黒に手を伸ばすと、フィッと私の時と同じ反応をしていた。
「……本当にあなたの猫なの?黒は」
呆れているかのような顔をした黒は私に近づくと、喉を鳴らし、私の足にすりよってくる。
「違う。俺は黒って呼んでるだけだ」
警備員の格好に疲れたのか、ネクタイを緩めると、ポケットから煙草とライターを取り出した。
「……へえ」
白い棒をくわえ、火をつけると紫煙が上がる。
「それに、黒はずっと俺と一緒にいる訳じゃない。明日には別の誰かの所に行って、別の名前で呼ばれてるかもな」
「ふーん」
黒は私の足の隣に座り込んでいる。
「…………チッ女好きの猫め」
それを見た自称怪盗は吐き捨てるように煙草を地面に落とす。
黒から視線を逸らすと、何かに気づいたようで、私を壁に押し付けた。
手加減ナシに壁に押し付けられたせいか、肩を打ち付ける。
「っ」
地面にあった煙草はいつの間にか消えていた。
痛っと声が出そうになった時、顔が近づいてくる。
唇が重なる手前でピタリと止まった。
「……早く帽子を深く被れ。三つ編みが髪からはみ出てる」
男が見ている視線を追っていくと、近くで人の声が近づいてくるのが分かった。
私は男に言われるがまま、急いでしまいこむ。すると耳元で彼は囁いた。
「俺が囮になる。お前はさっさとこの別荘の中にもどっちまいな。女なんだから危ない橋はあまり渡らない方がいい」
それと、と低い声で付け足した。
……このことは俺とお前の秘密、な。
彼は深くかぶっていた帽子を軽く上げ、ウィンクをすると声のする方へ走って行く。
いつの間に盗んだのか、そいつの指には指輪の青い石が光っていた。
「……」
意外といい顔してるじゃない。
ハッとして自分の指に目をやると、指には代わりと言わんばかりに、シロツメクサで作った花の指輪が付いていた。
……してやられた。
そう思ったが、私の気持ちは軽やかになっていた。
カラカラと笑った姿を見る限り、最初に推察した年齢とは違う気がした。
それに、180cmくらいあるだろうか、結構背が高い。すらっとしていて、よく見れば見るほど謎に包まれた男だ。
「ん?じっと見てどうした」
「なんでもないわ」
「……ふーん?まあいいや、それよりもその指輪くれない?」
ニカッとく口元の笑みが深くなる。
「嫌よ、これは……大切な物なの」
すると、足元でニャァと猫の声がした。
「あ、黒」
「黒って……この猫のこと?」
しゃがんで触ろうとすると相変わらずフィッと避けられる。
「……」
とくに嫌われるような事をしたような覚えはないのだけど。
「ふん、お前に懐くわけないだろ」
そう言って警備員の格好をした自称怪盗は黒に手を伸ばすと、フィッと私の時と同じ反応をしていた。
「……本当にあなたの猫なの?黒は」
呆れているかのような顔をした黒は私に近づくと、喉を鳴らし、私の足にすりよってくる。
「違う。俺は黒って呼んでるだけだ」
警備員の格好に疲れたのか、ネクタイを緩めると、ポケットから煙草とライターを取り出した。
「……へえ」
白い棒をくわえ、火をつけると紫煙が上がる。
「それに、黒はずっと俺と一緒にいる訳じゃない。明日には別の誰かの所に行って、別の名前で呼ばれてるかもな」
「ふーん」
黒は私の足の隣に座り込んでいる。
「…………チッ女好きの猫め」
それを見た自称怪盗は吐き捨てるように煙草を地面に落とす。
黒から視線を逸らすと、何かに気づいたようで、私を壁に押し付けた。
手加減ナシに壁に押し付けられたせいか、肩を打ち付ける。
「っ」
地面にあった煙草はいつの間にか消えていた。
痛っと声が出そうになった時、顔が近づいてくる。
唇が重なる手前でピタリと止まった。
「……早く帽子を深く被れ。三つ編みが髪からはみ出てる」
男が見ている視線を追っていくと、近くで人の声が近づいてくるのが分かった。
私は男に言われるがまま、急いでしまいこむ。すると耳元で彼は囁いた。
「俺が囮になる。お前はさっさとこの別荘の中にもどっちまいな。女なんだから危ない橋はあまり渡らない方がいい」
それと、と低い声で付け足した。
……このことは俺とお前の秘密、な。
彼は深くかぶっていた帽子を軽く上げ、ウィンクをすると声のする方へ走って行く。
いつの間に盗んだのか、そいつの指には指輪の青い石が光っていた。
「……」
意外といい顔してるじゃない。
ハッとして自分の指に目をやると、指には代わりと言わんばかりに、シロツメクサで作った花の指輪が付いていた。
……してやられた。
そう思ったが、私の気持ちは軽やかになっていた。


