突然名案を思いついたと言うように、律がベッドから跳ね起きた。
「っ律…?」
「ねぇさまが、まんなかですっ」
「???っ」
そう言って、マリュヒャの方へと追い立てる。
「っちょっ律っ!?」
そうして、左にマリュヒャ、右に律と言うおかしな川の字が出来上がった。
「っふっ、律は頭が良いな」
滅多に笑わないマリュヒャの笑い声に驚きながら、反対側で得意気に抱きついてくる律に苦笑する。
「これでねぇさまをはんぶんこですねっ」
「そうだな」
なんで…?
どうしてこう言う事に?
「…律…端だと落ちない…?」
「?う〜ん?
なら、ねぇさまだっこです」
「え?
あ〜うん…」
甘えるように抱きついている律を抱き締めると、すぐにうとうとと眠りについていった。
呑気な子だと感心していれば、マリュヒャが呟いた。
「…結局独り占めか…」
背中越しに聞こえたその言葉に固まった。
私にどうしろと?!
「っ…お父様…っ」
「なんだ?」
恥ずかしいっ…けどっ…。
「…っもっと近付いても良いですよ…?」
「……」
あ〜っ!!
恥ずかしいっ!!
そう見悶えていれば、背中に温かさを感じた。
そうして、律ごと抱き締めるように手が回された。
「これなら良いな。
おやすみ、結華」
「っ…おやすみなさい…っ」
果たしてこれで眠れるのか?!
だが、ほどなく瞼の重みに耐えられなくなってしまった。
そして、懐かしい夢を見た。
光の中から、声が聞こえてくる。
『あ〜あ、私も子どもが欲しかったわっ』
『?どうしてですかぁ?』
膝の上から見上げれば、可愛くため息をついたシェリルの顔があった。
『だってね、子どもがいたらこうやって本を読んであげて……女の子なら、お料理も一緒に出来てきっと楽しいわっ。
お洋服も作ったりして、お部屋は可愛くピンクね…ぬいぐるみもいっぱいにするわ。
男の子だったら、一緒に冒険に行くわね。
一緒にお仕事できたら楽しいわよ?
あらゆる武術を教えて、強い子になってほしいわねっ』
挙げ連ねたらキリがないと言うように、楽しそうに話すシェリルは、興奮気味に答えた。
『シェリルさま、うまないんですか?』
『う〜ん。
もう年だからね…ちょっと無理だわ…。
もっと早く、マリューが実は子ども好きだと知ってたら頑張ったのに…』
『マリューさま、こどもすきなんですか?』
『…む…いいえ…。
結華ちゃん限定で好きみたいなのよね〜。
でも、だったら自分の子どもも好きになると思うのよっ』
そんな不確かな情報で、自信満々に言うシェリルに、首をかしげた。
『ふふっ、こうなったら結華ちゃんを養女にもらおうかしら。
瑞樹なら押しまくれば頷きそうだわ』
そう言って、シェリルは意味ありげな笑顔を向けてきた。
不穏な空気を悟って、青くなる。
『ふふっ、結華ちゃぁん、お母様って呼んでみて』
ふふって言うのが恐いです…。
逆らえないような威圧感に、凍り付きかけていた口を辛うじて動かした。
『…お…おかぁさま…』
『っ…うんうんっ。
お母様ですよぉ〜。
今度、お料理とお裁縫をお母様としましょうねっ』
そう言いながら、ぎゅっと抱き締めされ、嬉しくなった。
だから、このあと余計な事を言ってしまったと後悔するのは、必然だったと思う。
『…っ…わたしは、ぼうけんもしたいですっ』
『っ〜っ分かったわっ。
それなら強くならなくちゃっ。
お母様と一緒に、強い女の子になりましょうねっ』
『っはいっ』
そうして、今の私が出来上がったのだ。
間違いなくシェリル様が私の『お母様』だった。
「っ律…?」
「ねぇさまが、まんなかですっ」
「???っ」
そう言って、マリュヒャの方へと追い立てる。
「っちょっ律っ!?」
そうして、左にマリュヒャ、右に律と言うおかしな川の字が出来上がった。
「っふっ、律は頭が良いな」
滅多に笑わないマリュヒャの笑い声に驚きながら、反対側で得意気に抱きついてくる律に苦笑する。
「これでねぇさまをはんぶんこですねっ」
「そうだな」
なんで…?
どうしてこう言う事に?
「…律…端だと落ちない…?」
「?う〜ん?
なら、ねぇさまだっこです」
「え?
あ〜うん…」
甘えるように抱きついている律を抱き締めると、すぐにうとうとと眠りについていった。
呑気な子だと感心していれば、マリュヒャが呟いた。
「…結局独り占めか…」
背中越しに聞こえたその言葉に固まった。
私にどうしろと?!
「っ…お父様…っ」
「なんだ?」
恥ずかしいっ…けどっ…。
「…っもっと近付いても良いですよ…?」
「……」
あ〜っ!!
恥ずかしいっ!!
そう見悶えていれば、背中に温かさを感じた。
そうして、律ごと抱き締めるように手が回された。
「これなら良いな。
おやすみ、結華」
「っ…おやすみなさい…っ」
果たしてこれで眠れるのか?!
だが、ほどなく瞼の重みに耐えられなくなってしまった。
そして、懐かしい夢を見た。
光の中から、声が聞こえてくる。
『あ〜あ、私も子どもが欲しかったわっ』
『?どうしてですかぁ?』
膝の上から見上げれば、可愛くため息をついたシェリルの顔があった。
『だってね、子どもがいたらこうやって本を読んであげて……女の子なら、お料理も一緒に出来てきっと楽しいわっ。
お洋服も作ったりして、お部屋は可愛くピンクね…ぬいぐるみもいっぱいにするわ。
男の子だったら、一緒に冒険に行くわね。
一緒にお仕事できたら楽しいわよ?
あらゆる武術を教えて、強い子になってほしいわねっ』
挙げ連ねたらキリがないと言うように、楽しそうに話すシェリルは、興奮気味に答えた。
『シェリルさま、うまないんですか?』
『う〜ん。
もう年だからね…ちょっと無理だわ…。
もっと早く、マリューが実は子ども好きだと知ってたら頑張ったのに…』
『マリューさま、こどもすきなんですか?』
『…む…いいえ…。
結華ちゃん限定で好きみたいなのよね〜。
でも、だったら自分の子どもも好きになると思うのよっ』
そんな不確かな情報で、自信満々に言うシェリルに、首をかしげた。
『ふふっ、こうなったら結華ちゃんを養女にもらおうかしら。
瑞樹なら押しまくれば頷きそうだわ』
そう言って、シェリルは意味ありげな笑顔を向けてきた。
不穏な空気を悟って、青くなる。
『ふふっ、結華ちゃぁん、お母様って呼んでみて』
ふふって言うのが恐いです…。
逆らえないような威圧感に、凍り付きかけていた口を辛うじて動かした。
『…お…おかぁさま…』
『っ…うんうんっ。
お母様ですよぉ〜。
今度、お料理とお裁縫をお母様としましょうねっ』
そう言いながら、ぎゅっと抱き締めされ、嬉しくなった。
だから、このあと余計な事を言ってしまったと後悔するのは、必然だったと思う。
『…っ…わたしは、ぼうけんもしたいですっ』
『っ〜っ分かったわっ。
それなら強くならなくちゃっ。
お母様と一緒に、強い女の子になりましょうねっ』
『っはいっ』
そうして、今の私が出来上がったのだ。
間違いなくシェリル様が私の『お母様』だった。


