「ありがとう。それじゃ」





かいくんにも他の子にも何も言う隙を与えずに私はまた階段を全速力で駆け下りた。


ゆいちゃんじゃない私を見てくれた。


それだけでもう十分。一瞬でもその瞳にゆいちゃんじゃない私を写してくれた。


私はまたさっきの空き教室に行って携帯を取り出した。宛て名は佑衣ちゃん。


【今日の放課後、3組に行ってね】