「ルーク」

 ルークを呼ぶ声でガブリエルは後ろを向いた。

 そこには、国王が立っていた。

「その女を後宮に連れて行け」

「わかりました」

 ルークが恭(ウヤウヤ)しく頭を下げる。

 ガブリエルは、国王の後ろにフィオーレがいないかを捜した。

「フィオーレなら来ない」

 冷たい声で国王が言った。

「え?」

「彼なら、力を求めて旅立って行った」