「俺は六十枚出そう!」

 皆が値段を上げていき、金髪少女の値段は七十枚で止まった。

「なら、七十枚で――」

 ルークは腹をくくって声を上げた。

「俺は八十枚出そう」

 貴族たちが「何!?」と意表をつかれたような声を出した。

 ルークは腰の巾着から金貨八十枚をだし、奴隷商人に渡すと金髪の少女を受け取った。

「お兄さん、誰?」

「俺はルークだ」

 少女は警戒しているのか、ルークから距離を開けて歩いている。

「…怖いことしない?」

「しない。大丈夫さ」

 ルークは彼女を抱き上げた。