ガブリエルは慌てて飛び起きると朝食を食べに隣の部屋へ駆け込んだ。

 朝食を終え、服を着替える頃には他の村人は仕事を始めていた。

「ガブリエル。後で話がある」

 フィオーレはそう言って、炭鉱の方へ走って行った。

 今日からガブリエルの仕事先は変わる。ガブリエルの仕事は服の洗濯だ。この村では、男も女も関係なしに仕事をするため、どの家も洗濯に手が回らない。

 そのためにできた仕事が今からガブリエルがする洗濯の仕事なのだ。だが、この仕事もなかなかの大仕事である。

 ガブリエルは仕事場であるガトヤを流れる小さな川へ向かいながら、兄の話というのを考えていた。

 朝、早く起きるように言われるのだろうか?

 そう思っただけでガブリエルは生きた心地がしなかった。