薄い雲が空一面にかかっていて 淡い赤色をしている それに 木が小刻みに揺れている 「チャリ、持って来た」 『ぁ…、どーも』 ――なんとなく緊張しちゃう… 綾の顔は 多少固い表情だった 「んじゃ、乗ってください」 『…』 足が前に出ない いや 違う―― 足を前に出したくない 「何してんだよ。早く乗れよ」 『ぁ…、うん…』 正直 拓斗に送ってもらうのは嫌だった―― 体重がばれたくないのもあったけど…―― 「あ、そーだ。俺、1回家に寄ってからでいいか?」